飛べない鳥
唯の目が輝いていた。
唯も気に入ってくれただろうか?



すると唯が急に立ち上がり、なにかを指さした。



『遥斗!最後にあれ乗ろう!』



唯が指さしたものとは、大きな観覧車だった。



俺は微笑んで、大きく頷いた。



そして観覧車の乗り場に向かい、ピンク色の観覧車に乗った。



一周は12分らしい。


こんな密室で唯と二人きり。


緊張しすぎて爆発しそうだ。


俺は冷静を装って外を眺めていた。


唯も外を眺めていた。




『遥斗?今日はありがとね』



『…いいよ…楽しかったし』



言葉なんか要らない。
話すなんて行為は要らない。


唯がいればそれでいい。
ただ笑顔を見せてくれればいい。



12分間の間、俺と唯が交した言葉はただこれだけだった。



…気持ちは繋がっていた。

一本の線で…
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