星の唄


星のかけらは女の子の手の中から消え、再び結衣の手の中にあった。

星のかけらはどこへでも持って行ける。
でもそれはソラが結衣の為にプログラムしたことであって、他の人ではダメだった。

「…そう。それはあなたの為に作ったのね。」

女の子は残念そうに呟いた。

結衣は手の中にある星のかけらに目を落とした。
ソラから貰った石。
辛いことがあれば割るように言われたけど…なかなか割れないでいた。

それは結衣のお守りになっていた。


しばらく沈黙が続いた。


「…え?」

女の子は何も言っていない。
結衣も何も言わなかった。
だけど暗闇で誰かに呼ばれた気がした。


「…あぁ…来ちゃった。」

「え…?」

「またね。」

そう言って、女の子は姿を消した。
あの子は誰なんだろう?
今の音は誰か来た音なんだろうか?

結衣が辺りを見回しても何も見えないままだった。


「…ちゃん…だ…?!」


また聞こえてきた。
今度は勘違いではない。
結衣は少しでも聞こえるようにと、耳を澄ませた。


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