星の唄



―21XX。


碧い星で人類は暮らせなかった。
近くの星や宇宙船、衛星に移住し、暮らしていた。

人類は碧い星を捨てた。
碧い星は黒い星になっていた。

黒い星に変えてしまったのは人類だった…



………
……

……………


「本日の授業はこれで終わります。お疲れ様でした。」


コンピュータから音声が流れるのを聞くとユイは電源を落とし、窓の外の黒い星を眺めた。


「どんな色だったんだろう…。」


授業で教えられる碧い星は綺麗で、写真も何枚も出てくる。
でも、ユイの祖母でさえ本当の碧い星を見たことがない。

ユイは本当に碧い星なんてあったのかさえ疑わしく思っていた。


それにユイは黒い星も好きだった。


黒い星はよく見ていると、宇宙(ソラ)のように時々赤や黄色、青い光るものが見える。

それは子守唄みたいに優しい色だった。

でもきっとそんなことを考えているのは自分だけだと思っていた。


< 2 / 189 >

この作品をシェア

pagetop