歌って聞かせてよ。
第3章 光輝君の歌。
それから光輝君と病院の中を歩き回った。

外に出て空気もすって…。


「うーん、気持ちいっ!」

私は伸びをした。



中庭のベンチに2人で座って色々な話をした。


「俺、バンドやってたんだ。」


「うん。知ってるよ。」

「え…?」


あ!やばっ…。

「あ、じゃなくて…バンドっていう単語の事かと…はは…。」


「?やっぱ変なやつ。」



あ…あぶなー。

私は今は普通の女の子なんだから。



「ね、光輝君はさ…。」

「な…なぁ、俺、まだお前に名前言ってないんだけど…。」


「へ?…あ、札!病室の札みたんだよ!!」


言われてなかったっけ?

とっさに思いつきでしゃべる。



それから光輝君には

「どっからきたんだよ?」


「家族は?」

「どこの高校なんだ?」



と、色々きかれたけど、すべて答えられなかった。

私、この病院の外に出たことないもん。


「よし。んじゃ、ちょい外出てみるか!」


何も答えられなかった私に気を使って、光輝君は散歩を提案してくれた。


「え…うん!!」

やったぁ。

人間になったから歩けるんだった。




「いくぞ。」


光輝君に腕を引っ張られて外に出た。


病院の外には大きな建物がいっぱいで人もたくさんいて、賑やかだった。



「すっ…すごい!」



それを見て私はまた大はしゃぎ。

そんな私に光輝君はつきあってくれた。
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