歌って聞かせてよ。
治るんだろうし…あんなに沈まなくたって…。



次の日の朝。


光輝君におはようを行ったんだけど、返事がそっけなかった。



病室に入っても、私と入れ替わるようにいなくなっちゃうし、探しても見当たらない。




…許してもらえないのかな…。




私は仕方なく、自分の木の下で自分にもたれて休んでいた。



「あれ…私…、以外に伸びてる?」



背もたれの木は以外にも人1人がもたれ掛かれるスペースがある。



「知らないうちに大きくなってたんだなぁ。」



中庭に一本しか生えていない私。



仲間がいなくて寂しかった。

それなりに目だってはいたんだけど…。



夕暮れ時…


空はオレンジ色に染まっていた。



なぜかいつもなら温かく思えていた空の色が今は悲しい…。



「…光輝君と……話せなきゃ、意…味な…いのにっ…。」



いつの間にか涙か頬を伝っていた。


人間になれたのは光輝君と話がしたかった、歌をそばで聞きたかった気持ちが強かったから。


「う…た、歌ってほしいよ…。」



「♪〜♪〜」



え!?



バッと後ろを振り返る。


光輝君だ。






木を挟んで向かい側にすわって歌っていた。



静かだけど、暖かい曲。



いつからそこにいたんだろう…。



歌い終わった光輝君がポソリと言った。




「…昨日は、言い過ぎた。ごめん。」




と。




「そんなっ…。私の方こそ気にさわること言っちゃったみたいで…ごめんなさい。」



「いーよ。桃なりに元気付けようとしてくれたんだろーし。」

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