愚者
第十一章 狂気
 単調で平和な毎日が欲しい。ベッドの上で葵は天井を見上げ乍漠然と考える。だが現実的に見た場合、葵が置かれている状態は決して楽観視出来る状態では無い。自分が原因で小夜子が大怪我をしてしまった。その事を思うと胸が締め付けられる様な思いに駆られるが、現実は鋭利な刃物の様に葵の心を斬り付ける。如何する事も出来無い現状。だが、上手く立ち回る術を持っている訳でも無く、心が強い訳でも無い。諾々と続くイジメの毎日に耐える以外に道は無いのかも知れない。
―頑張らないと
 心の中で呪文の様に呟く。答えは出ている。立ち向かうしか無い。本当に耐え切れるのかと自問自答をするが、薄っすらとでは有るが答えは見えている。恐らく無理だろう。だが、今この場で挫折をする事は出来るが、小夜子の事を思うと逃げている事に成ると思い立ち向かう事にする。母とは相変らず擦れ違いの生活が続いている。先日の事件を境に微妙な関係に成っているのが肌で分かる。母も混乱しているのだろう。自分だけが辛い訳では無い。そう思う事で少しでも戦う為の勇気に変え様と思い制服を着る。  
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