もしも素直になれたなら

#3

『んー?あぁ水口先輩一昨日フラれたんだって。
碧衣がおんなじサッカー部だから情報回ってきたよ!
なんでもあっくん好きになったから水口先輩ふったらしいよ?かわいそうだねぇ水口先輩・・・・。けっこう人気な先輩なのにね。』

1人水口先輩を哀れむ李華を横目に私はパニック。

(えぇぇ!?無理!無理!無理!相手が浦澤さんじゃ勝目ないって!)

パニック状態の私に気付いたのか李華が『大丈夫だよ!あっくんの特別は魅紗だけだよー!』

多分特別は特別でもそれは"幼なじみ"という名の特別。
私はとっくに幼なじみとしての特別じゃなく好きっていう特別なのに・・・・。

PM4:30
帰っていく生徒や部活に勤しむ生徒などで賑わう校庭を横切りいつもの待ち合わせ場所に向かう。

アズとの待ち合わせ場所の自転車置き場だ。

(やばぁい!先生ってば宿題忘れたぐらいで課題出しすぎぃ!!!!!!)

全力疾走で走って1年専用自転車置き場の入口に滑り込む。
『アズごめん!遅れ・・・『あーずーさーくぅん♪今帰りなのぉ???』

アズに謝ろうとしたらやけにベタベタした高い声が聞こえ思わず黙ってしまった。

(あれって・・・・。浦澤さん!?)

たしかに私の目線の先には浦澤さん・・・とケータイをいじりつつ浦澤さんに目をやるアズ。

『ん?あぁまぁそうだけど?』

『梓くんてぇ裏門から帰るよねぇ?
愛理菜も裏門だからぁ一緒に帰らないぃ?』

『あー・・・。無理だ。ごめん。』

『えぇぇ!?なんでぇ?いいじゃないぃ♪』

『俺魅紗待ちだし。』

『っっ!で・・・でもぉ綾部さんさっき裏門からでてくの見たよぉ?』

(はぁ!?なにデタラメ言ってんの!?そんなにしても帰りたいのかぁー!!)
『そんなワケないでしょ?魅紗は待ってる俺に黙って帰ったりしないよ。それに魅紗はあぁ見えて寂しがりだし1人じゃ帰んないよ。
浦澤はなんでそんな嘘つくわけ?』

『っっっ・・・・!な、なによぉ!愛理菜がせっかく一緒に帰らない?って誘ってるのに!もぉいいわ!1人で帰るわ!』

アズに相手にされず怒った浦澤さんはダンダンと大きな足音をたてて行ってしまった。

『で、魅紗そこで何してんの?おせぇよっ!』

いつの間にか私の後ろに立っていたアズに驚き入口にある低い段差につまづく。
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