to Home!!
「おかえり」


…えっ


今なんて…?



廊下の奥から聞こえてきた声。

顔は見えない。




「…」


「何で黙ったまま突っ立ってるの?」



そっとリビングのドアから顔を出したのはやっぱり祐也さんだ。


「あ…えっと、そ…空耳かと思って…」


あはは…と軽く笑いながら廊下を歩く。



なんで?


怒ってるんじゃ…?





びくびくしてたのは確かだけど、怖くはなかった。


だって祐也さん、表情が柔らかかったから。




パタン…



私はドアを閉めて荷物を置くと、ソファーに座った。

それを確認すると、私から視線を外した。

祐也さんは食卓でノートパソコンを触っている。




どうしよう…

これってチャンス…だよね。




「あの…」

「未裕…」


私が話そうとしたのを遮るように、祐也さんが口を開く。


「俺、まだ出来ねぇんだよ」

「…な、にを?」



突然の言葉に頭がついていかない。


そんな私を見て、祐也さんがフッと笑う。


「…未裕が思ってるより俺は子供だよ?」



そんなことないじゃん…

祐也さんで子供なら、私…赤ちゃんなんだけど…。




私はただ黙って聞いていた。



「だからさ、俺も未裕も同じ。」




同じ…?



それ、意味わかんないよ

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