【長編】私とあなたは、恋をしない。
「ねぇ、珠李、聞いた?」


「泉、なに?」


珍しく泉が興奮状態。


「バスケの練習試合でね。
あの晋平くんが来るのよ。」


あの晋平くんか.....。


「泉、好きなんだっけ?」


「う、うん。
だって、あの瞳、素敵。
きっと性格だって男前よ。」


初めて聞いた。


晋平は、そんなんじゃない。


よく誤解される。


だから、私は、幼なじみとして、晋平に逃げ道を作ってあげた。


それは、間違いの道かもしれない。


けど、晋平を救いたかった。


あの日の出来事がそうさせてるから。


あんな晋平、見たくないから。


「でも、よかったね。」


私は、言わない。


私と同じ中学の人がいないから、私と晋平の関係がバレるわけないし。


やたらめったら、言うことでもない。


「うん。
だから、放課後つきあってね?」


「放課後?」


「うん。
今日の放課後なの。」


聞いてないし。


まあ、晋平も気にしてないだろうけど。


てか、忘れてそう。
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