【長編】私とあなたは、恋をしない。
「どこだっていいだろ?
俺は、絵里とだから。」


悪びらない海にちょっと苛つく。


「もう知らない。
私、戻る。」


私は、勢いよく立ち上がった。


「はっ?
ダメだし。」


海は、私の腕を掴み私を引き寄せた。


「海はさ。
今みたいにキスしてるとことか人に見られても関係ないの?」


私は、恐る恐る聞いた。


「絵里とならね。
けど、絵里のかわいい顔を見られんのは嫌だよな。」


海は、視線を上に向けながら、思い出しながらというか考えながら答えた。


「じゃあ、約束してね。」

やっぱ、やだもんね。


「待て。
無理だろ。」


慌てて否定する海。


理解できない。


「なんで?」


「一応、ここも密室になってたしさ....」


海もやっぱ男なんだ。


「海、わかってない。」


またの私の『わかってない』発言に海は、うなだれた。
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