愛恋

卒業



すごい良い天気だなぁ。
なんて思いながら小さく椅子を座りなおした。




「行ってくるべ」




前に座っていた優菜が静かにあたしに呟いた。
返事の変わりに少し笑ってみせた。




優菜も笑い返して、雛壇へ向かって歩みだした。




何度も言われたように、かくかくと床を曲がって階段を数段上って立ち止まる・・・。






「ふう・・・」





暑い。





ふと斜め後ろを見ると、
在校生代表の5年生たちがズラーっ、と堅苦しく並んで椅子に座っている。





5年生も良い迷惑だろうなぁ、と思いながら、自分も去年まであそこに座っていたのを思い出して、5年生の指名だなと思い直した。




暑い、さっきよりも暑くなった気がする。





この暑さは人口密度が高いせいもあるんだろうな。





1人1人名前が呼ばれて、賞状を受け取って階段を降りて行く。





1人横を通り過ぎていく度に、床が少し軋む。




あたしもゆっくりと立ち上がって、雛壇にかくかく歩きで近づいていった。
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