夜の蝶たち~沙織~
最寄り駅に着いたら電話くださいって言われてたから・・・

プルルル・・・プルルル・・・♪

『はい、三沢です』

「あ、今日、面接の約束してるんですけど・・・」

『あ~、はいはい、今、駅かな?』

「そうです。着きました」

『そしたら、迎えに行きますね。どんな格好してるかな?』

「え~っと、黒のミニスカに、グレーのダウン着てます。髪はロングです」

『分かりました。見つからなかったらまた電話します。5分くらいで着きますから』

「はい。お願いします」



電話が切られて・・・

5分か・・・

緊張してきた~。

電話の人は、優しい感じでいい人っぽかったけど・・・

面接って、なにするんだろう・・・

なにするにしてもさ、面接ってヤダよね~。

なんか、すっごく品定めされてる気分になる。

そんなことを考えてたら・・・

「すいません、クラブ サンセットですけど、面接の方?」

スーツを着た、ちょっと渋めのおじ様に声をかけられた。

「あ、はい。そうです。お願いします」

「そんなに緊張しないでください。とりあえず、店に向かいましょう」

ニコっと笑ってその人が言った。

「店、すぐなんで。ほら、あそこに水色のビルがあるでしょう?そこの3階です」

「あ、近いんですね」

「そうですね。あ、18歳でしたっけ? 高校は?」

「辞めちゃいました」

「そっか。うちにももう1人、高校辞めちゃった18歳の子がいるから、話が合うかもね。あ、着いたよ。どうぞ」

そう言って、お店の扉を開けてくれた。


< 2 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop