ドラゴン・テイル

「おい! あんた! しっかりしろ!」

 駆け寄り、倒れている人の肩を軽く揺する。

 年輩の老人だった。延びた髭は真っ白で、髪も同じ色をしている。

「一体、何があったんだ?」

 ウルは、すぐ後ろに立つ少女を振り返る。

 少女は、不安そうな顔でフルフルと横に首を振る。

「……うぅ……」

 老人の呻き声に、ウルは視線を戻す。

「大丈夫ですか? 一体何があったのですか?」

 相手が年輩だとわかり、ウルは丁寧な言葉をかける。

「……み、水を……水を下さい……」

 かすれた声で、老人がウルに訴える。

 ウルは、すぐに持っていた水筒を取り、老人の背を支えるように手を回して口元に持って行った。

 ─…コクっ……コクッ……。

 微かに喉を鳴らしながら、老人は水を飲み込んだ。

 ─……ふぅ……。

「大丈夫ですか?」

 息を付く老人に、売るはもう一度声をかけた。

「すまない、見知らぬ若者…。じゃが、珍しいの、こんな所を人が通るとは……」

 そう言うと、ウルの後ろに立つ少女に目を向けて、笑顔を浮かべた。

「そうかそうか、コルティが呼んでくれたんじゃな」

「コルティ?」



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