ドラゴン・テイル

 風の刃を避けようと足に力を入れた瞬間激痛が走る。

 蹴られ、地面に叩きつけられた時に痛めたのだろう。ウルの動きが一瞬鈍った。

 ─避けられないッ!!

 咄嗟に堅く目を閉じる。

 バジンッ

 ウルの直前で響く激しい音に、体が一瞬ビクンッと跳ねる。

 ハッと目を開くと、目の前には一本の剣が突き刺さっていた。

「まーったく、先走りすぎ! 思いっきりやられてんじゃんッ!」

 空洞に響く声に、ウルが辺りを見渡す。

 カスタールは、一点を睨み据えていた。その方向に視線を向けると……─

「クレイグッ!!」

 全く気づかなかったが、壁に入り口があり、そこに佇むクレイグ。

 その後ろからセルフィリオーナが弓を構え、カスタールにめがけて撃った。

 矢はカスタールの頭部に向かって真っ直ぐに飛び、当たる直前に弾かれて地面に落ちた。

「な……ッ! 結界?!」

 驚くセルフィリオーナの声が響く。

「おやおや、増えてしまった」

 カスタールが一言呟くと、ふわっと上空に浮かび上がる。

 クレイグとセルフィリオーナがウルの元に駆け寄った。

「ウル、傷見せてッ!」

 セルフィリオーナがそう言うと、腰のベルトに付けた小さなポーチから薬草を取り出す。
 コパンに使った物と同じ薬草のようだ。

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