ドラゴン・テイル

復活


 コパンの描く魔法陣が淡く光る。

 魔法陣に手をかざし、コパンがなにやらブツブツと呟き始めると同時に、カスタールが勢いよくクレイグに向かって落下してきた。

「うぉ?!」

 咄嗟に横に跳ぶクレイグ。
 先ほどまでクレイグが立っていた場所にカスタールが放った蹴りが炸裂し、地面を大きくえぐった。

 地面に降りたったカスタールに向かって、クレイグが走る。

「ハァァァァッ!!」

 カスタールの腹部めがけて横に剣を振る。それを、片手で防ぐカスタール。

 ギィィィン……ッ

 金属が激しくぶつかり合う音が響く。剣先はカスタールに届かない。

 さらに一歩踏み込み切りつける。

 カスタールは少しずつ下がりながら距離を取ろうとするが、スキを与えず追撃するクレイグ。

 ハタから見たらクレイグが優勢のように見えるが、その剣先は結界に阻まれてカスタールまで届かない。

 むしろ、追撃しているクレイグの方に疲労の色が見え始めた。

 ウルが呪文を唱え始める。
 セルフィリオーナも弓を捨て、太股に添え付けているダガーを引き抜いた。

「うるッ!」

 魔法を放つ直前、コパンがウルの腕を引いた。視線を向けると、魔法陣の上に真っ黒い巨大な玉。
 コパンの身長よりも高いそれは、ウルの腰ほどまであった。

 ─…これが…宝玉ッ!!

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