ドラゴン・テイル

 宝玉の中から現れたのは、真っ黒な漆黒の影。いつか見た影のようなドラゴンより一回りほど大きく見えた。

 それは、高く天井まで登り上がると、目の前の氷の中に眠る黒竜の体に吸い込まれるように入っていった。

 直後、洞窟内に地響きが響きわたる。

「はっはっはっ! ようやく、長い時を越えて復活するッ!」

 両腕を広げ、叫ぶカスタール。その胸部から、黒い靄(もや)のような物が吹き出し始めた。

 靄は体から出ると、魂の後を追うように黒竜の中に消えていった。

 体が、支える物が無くなったように地面に崩れ落ちる。

 近くにいたクレイグが走りより、抜け殻となったリムレットの体を抱えてウルの元に走ってきた。

「リムレットッ!!」

 クレイグの腕の中で、ピクリとも動かないリムレットに向かってウルが叫ぶ。

 天井の穴からラーマが滑るように降り、ウルの元へ降り立つ。

『ウル! リムレットは後だ! 奴を先に倒すぞッ!』

 ラーマの言葉と同時に、黒竜が自分を捕らえていた氷を突き破った。

 グルァァァァァァァァァァァッ!

 激しい咆哮に空気が震え、天井が抜け落ちていく。

「レインはッ?!」

 降りてきたのはラーマだけ。

 抜け落ちる天井の瓦礫に視線を向けるクレイグに、ラーマが答える。

『奴はキスティン達の所にいる』

 ラーマの言葉に、クレイグは僅かに胸を撫で下ろした。


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