シムーン
「――すみません…」

うつむいたままの小さな声で彼女が言った。

「じゃあ、戻ろうか?

南野課長には、俺がうまく言っておくから」

「はい…」

彼の後をついて行くように、彼女が歩き出した。

俺は、そんな彼女の後ろ姿を見送る。

彼女の後ろ姿が見えなくなると、息を吐いた。

「――バカだ…」

衝動にかられたとは言え、最低だ。

彼女の唇を奪ってしまったことを悔んだ。

バカな男だ、俺は。

そう思っても、やってしまったことには変わらない。
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