シムーン
その主任も今は結婚してる。

左手の薬指には、キラリと光るシルバーリングがあった。

「さっきから呼んでたんだけど」

「…すみません」

絶対に聞き逃すことなかった主任の声は、昔の私だったらありえない。

「そろそろ時間じゃないの?」

「えっ?」

主任に言われて思い出した。

そう言えば、今日は月曜日じゃないの!

確か歓迎会の幹事役に選ばれて、今日はその打ち合わせだったはずだ。

「主任、何時ですか!?」

早口で聞いた私に、
「後10分で始まるけど」

主任が答えた。

ヤバい、急がなきゃっ!
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