シムーン
それでも期待してる私は、何なんだろう?

見向きもしない相手を視線で追っても仕方がないのに。

そう思いながら、小指に目をやった。

見えたらいいのになと、心の中で呟いた。

赤い糸が見えたらいいのにな、って。

そうしたら、誰と繋がっているかわかることができるのに。

相手をこの目で確かめることができるのに。

そう思いながら、そっと視線を向けると、彼は相変わらず書類に目を通しながら話に耳を傾けていた。

私が見ていることなんか、全く気づいてないとでも言うように。
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