シムーン

四面楚歌ー気づいても、もう遅いだけー

それは、本能も同然だった。

誰にも触れて欲しくない。

誰にも渡したくない。

そんな思いを込めて、俺は彼女の唇を奪った。

彼女が苦しそうに息をこぼしても、俺は黙って唇を奪い続けていた。

唇が離れたのと同時に、唇から熱い吐息がこぼれ落ちた。

熱があるのかと聞きたくなるくらいに潤んだ瞳を、独り占めしたいと思ってしまった。

俺以外の男に見せて欲しくない。

そう思いながら、俺は彼女を見つめていた。

彼女の唇が何かを言いたそうに開いた時、突然聞こえた音に躰が震えた。
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