まーくんの部屋



まーくんは近づいてきて、私の頭にそっと触れた。


「言わないよ出てけなんて…


むしろ、ビクビクしてたのは俺の方」


近づきすぎて、まーくんの顔は見えない。


だけど声から、何となくその表情が予想できた。



「いい家とか、


ここより好条件な所があったら、ふっといなくなるんじゃないかって思って


だから毎日せっせと料理作ったりして、


ガキっぽい?」


ぶんぶんと頭を横に振った。



「出て行かせてなんてあげないよ」


まーくんは両手でそっと私の頭をつかんで、


頭のてっぺんに優しくキスをした。




話し相手。


働く男の人にはそれが必要らしい。



まーくんの好みも相まって、私は上手くその枠に収まれた。



ここに来て、胃も満たされるようになって


あったかいお風呂とベッドを与えてもらう。



その上まーくんがくれた、幸福な言葉たち。



しばらく私は、ここにいていいみたい。





.。.:*・゜+.。.:*・゜+.。.



< 49 / 74 >

この作品をシェア

pagetop