君が、イチバン。
◆◆◆


若咲 椎那 25歳。

前の職場を諸事情で辞めて半年。

短期の派遣とアルバイトを繰り返す生活を続けていたけど、そろそろ仕事しなきゃなーと決意して重い腰を上げた時には不景気の嵐で、考えの甘っちょろい私に就職先なんて簡単に見つかる筈なく。

貯金も底が見えてきてこうなったら自給自足生活しかないと腹を括った私にやっと、夕方開店で深夜営業の複合娯楽施設Laiにフルタイムのパートが決まった。



自社ビルの一階は居酒屋レストランとスパ。埋まっているテナントはヨガの教室。
二階はゲームセンターとカラオケ。
三階が小さなバーになっている。経営がグループ企業だからなのか保険関係はきっちりしていた所が決め手だった。

配属が決まったのはカラオケだったけど、実質人手の足りない時に駆り出されるヘルプ要員で、どこのフロアの仕事も出来る様に覚えなくちゃいけないらしい。

昼夜が逆になる生活とか、初めての職種だとか不安はあるけど、前向きに、頑張るしかないし、多分、きっと大丈夫。

よしっ、と呟いて気合いをいれた。




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