君が、イチバン。

「煙草を吸っていいですか」といえば、どうぞと火を付ける。手慣れた仕草全てと合わせもつ優しい雰囲気が合わさって、確かにこれじゃダメにもなると四宮は思う。こんなのに毎回餌を与えられたら普通の餌じゃ満足できなくなりそうだ。


「俺は、椎那が好きです」


危うく絆されそうな雰囲気に四宮は挑む様に彼を見つめた。


「そう、頑張ってね?」


…全く掴めない。表情にも言葉にも『本音』が見えなくて、かなわない、と漠然と思う。あの夜、垣間見えた瑛太はどこにもいないのだ。だけど、


「あいつ、大人なんだか子供なんだかわかりません。迷ってる、今はそんな感じだけど、瑛太さん、あなたに動く気がないなら俺が貰います」


椎那がこの人を好きでも、瑛太の感情が愛情ではなく親愛なら、揺れ始めた椎那を渡す訳にはいかない。


「四宮君。きみかっこいい」


瑛太はパチリと瞬きをしてからにこりと笑う。

「四宮君は僕の友人に少し似てる。だけど君は彼より誠実で真っ直ぐで若い。良い男だね」


君ならしいちゃんをきっと幸せにできるんだろうね、と微笑んだ彼は四宮には嬉しいのか寂しいのかよく分からない複雑な表情に見えた。

それからすぐに携帯が鳴ってあの美人からの呼び出しで「勝手な人だよね?」と苦笑した瑛太は元の緩い雰囲気で、結局四宮はモヤモヤしたままだった。







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