私の兄は、アイドルです。
 




「ったく……」



ホンットに……

良い奴だよ、お前は。


わざわざ……

俺を元気づけに来てくれてんだろ?



ソッと毛布を掛けてやる。




……ってキモ、俺。

さっぶ。



……だってさ?

豊が風邪引いたら、
仕事に支障きたすだろうが。





「澪、か……
……呼ぶわけねぇよ、コンサートになんて」




呟くようにそう言いながら、

窓辺に歩いていき。



シャッとカーテンを開け……



夜空を見上げた。




厚い雲で覆われ、
無数の雨を落とす夜空は



いつもみたいに

綺麗は星は

見えない






なぁ、音遠。



ちゃんと飯食ってるか?

ちゃんと眠れてるか?


学校で、騒がれてないか?




……1人で、泣いてないか……?






──今すぐにでもそばに行って、


きつくきつく抱き締めてやりたい。



たくさん抱きしめて、

たくさんキスして、


ただ一緒に眠りたい。




音遠の温かさを感じて

一緒に笑い合えたら。






どんなに──





──幸せだろう。






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