私の兄は、アイドルです。
 



……堅い絆……?



堅いと思ってたのは、
間違いで。



私は今、崩れ落ちそうな崖の上に立ってるのかもしれない。



どうして?なんで?

狂い始めた、脆い絆。


ドキン、ドキンと煩く跳ねる心臓。




……まさか、そんなハズ無いじゃん。


そうだよ……


そんなハズ、無い。



自分に言い聞かせるように、何回も何回も心で唱える。




ねぇ、お兄ちゃん……


私は……



“狂っちゃった”の?



それとも


“狂ってた”の……?





溢れ出した涙は
止まらないまま……





コンサート本番まで──



――あと、12時間……





───────

 
< 64 / 297 >

この作品をシェア

pagetop