魔念村殺人事件
「ここだ。着いたよ。あの車、借りてきたレンタカーの二台だな」


 エンジンを切りながら春樹が見ていたのは、公民館の駐車スペースに停められている軽自動車と、乗用車だった。


「二台共、中に人は乗ってないみたいだから、もう公民館の中に入っているということか」


 陸は車を降り伸びをした。それに倣って春樹も伸びをすると、陸達は公民館の入り口まで三メートルくらいの距離を歩いた。

 公民館は三階建てで、茶色と白なのだろうが、色はとうに褪せ、壁のセメントはあちらこちら剥がれていた。入り口の扉は引き戸で、見た目はやはり老朽化しており、手を掛ける部分はすっかり錆びていた。

 春樹は躊躇せず扉に手を掛け、勢いよく開けると、ギギギギという嫌な音を立てたので、陸は思わず顔をしかめた。玄関の開く音を聞いて出てきたのだろう、すぐに若い女が現れた。

 
「春樹。もう来ないかと思ったわよ。皆奥の部屋にいるから早く。あれ、その人は?」


 セミロングで茶髪の、目が多少吊り上がっている女性が俺を一瞥し、再び春樹に視線を戻した。
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