魔念村殺人事件
 陸は元々大学で心理学を学び、夢を見つけるために居酒屋でアルバイトをしていたのだが、現在は探偵として、時には警察から内密に依頼されることも珍しくない。しかし、儲けることに対して深く考えない性格なので、浮気調査や尋ね人を依頼されても、かなりの低料金で引き受けていた。そのため、他に人を雇うほど余裕もなく、相変わらず一人で「探偵社RIKU」を切り盛りしている。


「陸? 俺だよ春樹、高瀬春樹」


「春樹か! 久しぶりだなぁ。元気にしてたか?」


 電話の相手は高瀬春樹二十七歳、陸と同じ大学の友達である。話したのは半年ぶりくらいだ。

 春樹は大学を出た後、東京で就職をし、平凡なサラリーマンをしているのである。彼も陸と同じく、心理学を学んだ後、この先本当にやりたいことが見つかるまで、平凡なサラリーマンをすると云い、現在に至る。陸の探偵稼業が忙しくなったため、春樹と話しをするのは久しぶりである。

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