魔念村殺人事件
「ん~、やっぱり思い当たらないな。真優は大人しかったから、恨みを買うようなことが思い当たらないんだ。魔念村では俺達、美紀も含めて七人は子供の頃から仲が良くて、他の大人達は関係なかったしな」


「そうか」


 陸がそれきり黙り込んでしまうと、春樹は思い出したように云った。


「陸、そういえばお前昨日云ってたけれど、真優が美紀のことで何か知ってるんじゃないかって。あれどういう意味なんだ? 誰かに口止めされているようなことも云ってたし。結局真優があんなことになって、それも分からず仕舞いだったってことか?」


 何と答えたらいいものか陸は少し困惑したが、一呼吸置いて春樹に話した。


「実はな、昨日公民館で美紀ちゃんの話しをしていたろ? その時、俺が皆に質問した際、真優ちゃんは何かを云おうとしていたんだ。でもある人物が彼女を睨んで結局何も云わせなかった。だから、口止めされているのではないかって考えたのさ」


 春樹は身体ごと陸に向けると低い声で云った。


「そのある人物って鈴音じゃないか?」
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