先生
『はぁぁぁぁ~~~』


気が付いたら、かなり大きなため息をついていたみたい。


「もぉ~~純那、凹みすぎ」


柚子が頭をポンポンって撫でてくれた。


「だってぇぇぇ~~」


私は机にへばりついたまま、視線だけ上げて柚子を見た。

その向こう側には、廊下で囲まれる先生の姿。


先生がチラッと私を見た。
一瞬だけど、見逃さない。


だって、顔では笑いながら取り巻きと話して居るのに、目から『ごめん』が溢れ出ているんだもん。


分かってるよ。


先生のせいじゃない事位。


でも、見ない様にしていても視界に入って来ちゃうの!!

柚子はそんな私の視線に気づき、私の前に立ちはだかった。


「ほら、見ない見ない!!!」


柚子はお見通しなんだね。
私は上体を起こして、頬杖をついた。


「これが、毎日続くのかな?」


思わずポロリと出てしまう本音。


挫けないって思っていたのに
側に居れたら良いって思っていたのに


もう、満足出来ていないんだ。



人間って、欲深いんだね。



そんな自分に、嫌気がさす。
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