色葉
あどばいす
荷物運びをさせられたことに対して文句があるわけじゃない



このくらいのことなら普通に手伝う



まぁ進んでやるほど熱心にはなれないが


ただ、ただである


「この量ならオレいらないだろ。自分で運べよ」


数学ⅠAの教科書は薄く小さいためにとても軽い


これなら手伝わせる必要はないはずだ


わかるかな?この気持ち


手伝うのにももう少しやりがいってものが欲しいわけ


なんだこの軽さ


「いいじゃない。女の子には優しくが常識よ。か弱い女の子を手伝い、助けるのは男の義務よ」


「誰がか弱い女の子だ。第一女の子って歳、ぎゃー痛い割れる」


会話に集中していて反応が遅れた


担任のアイアンクロ-が鮮やかに決まった



「石動くんにいいことを教えてあげよう。女性に歳の話題をふる時は覚悟を決めたときにしようか」


声は優しく響くのに手にこもる力は段々強まっている


覚悟ってあれか?死ぬ覚悟か?


とりあえず必死に謝ってみたが効果はなく


引きずられるように教員棟の数研を後にした



もう一生女性にたいして歳の話題はしないと誓いながら

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