色葉
とくべつかのひめ
走って教員棟を抜け、左右を見ると梅棟に走り抜ける後ろ姿が見えた


さっき数研でチラッとだが、赤みがかってる髪が見えた


珍しいから人違いってことはないだろう


追いかけ梅棟に入ったとこであまりに予想外のことがおきた


待ってた。しかも礼儀正しくお辞儀までされた


「主人が待っております。こちらへどうぞ」


そう言って示されたのは空き教室


「ちょっと待った。えっと何?」


「何?とおっしゃっられても私の役目はあなた様をご招待いたすことです」


「じゃああの、さっきのは?」


「さっきのと申しますと?私の記憶にございませんが何か不手際でもありましたか?」


なんだ?人違いか?でも髪の色は同じだ


しかし、本気で戸惑っているように見え、オレが馬鹿なこと言って困らせているようにしか見えない


これが演技だったら相当の役者だよな


といあえず、今確かめる手段はないし、主人ってのに会ってみるか


「いえ、こちらの勘違いのようでした。すみません。」


少女は綺麗な笑みを浮べると「お気になさらず。ではこちらです」と先頭するように空き教室に入っていった


それに続いて入って驚いた


何だこの部屋


絵画や骨董品がところ狭しと並んでいる。


表にあるので全部じゃねぇんだ


しかも部屋はうちの教室と比べてなんの冗談?って聞きたくなるくらいに広い


どうやら呆気にとられていたらしい


さっきの少女が黙って立っているのに気がついた


「あ、すいません。ちょっと驚いて」


「いえ、お気になさらず。もうよろしいですか?」


「えぇはい」


その言葉を聞いて少女はゆっくりと奥へ歩き出した

< 69 / 178 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop