Ｌｏｖｅ　Ｓｔｅｐ
キッチンで雪哉は濡らしたタオルを電子レンジで温めた。


部屋に戻ると出て行った時と同じ姿勢のまま杏梨は待っていた。


「ゆきちゃん……」


着替えると言ったのに……。


手にしているタオルを頼りなげな表情で見た。


「タオルが冷めるまで動かないで」


温めたタオルを杏梨の腫れた目に置いて言うと、再び離れていく音がした。


タオルの温かさが冷めた頃取られ、冷たすぎるほど冷えたタオルをもう一度目に乗せられた。


「ひゃん！」


「驚いた？」


杏梨のビックリした様子に雪哉が笑った。


「つ、冷たいよ……」


「明日の朝、腫れた目は嫌だろう？明日、引いていなかったらもう一度やろうな？」


「……ありがとう」



翌日の朝、やっぱり目蓋は腫れていた。


ゆきちゃんはめんどくさがる事なく世話を焼いてくれて申し訳ない気持ちでいっぱいだった。




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