Love Step
お昼過ぎに人の気配で杏梨は目を覚ました。


病気になるとお世話になる女医の笹川先生の顔が飛び込んできた。


「気分はどう?」


少しハスキーな声で聞かれる。


そして点滴の間隔を確認している。



いつの間に……点滴……全然わかんなかった……。




「これは水分補給よ? 少し脱水症状を起こしていたわ」


点滴のおかげなのか、身体が軽くなっているような気がした。



「あ……大丈夫です」


そう言いながらも部屋にゆきちゃんの姿を探してしまう。


「雪哉くんなら店に行ったけどすぐ戻ってくるわ 帰ってきたらおかゆを作ってもらいなさい もう食べられるでしょ?まだ眩暈はあるかしら?」


目を開けてもあの酷い眩暈は感じなかった。


「大丈夫みたいです わたし 風邪ですか?」


「う~ん 風邪の症状はなかったわ 疲れが出たのかもしれないわね 念の為、血は少し抜いておいたわ 後で結果が分かったら知らせるわね」


注射針を入れても杏梨は爆睡していた。


「ありがとうございました」


杏梨はニコッと笑ってお礼を言った。




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