Love Step
* * * * * *



車に乗り込むと雪哉は夕食に何が食べたいか聞いた。


「……おそうめん」


「そうめん?」


やっぱり食欲がないんだな……。


「あ、でもゆきちゃんの食べたい物があればそれでもいいの 作るから何でも言って?」


「そうめんだけだと栄養がないから具沢山のそうめんにしよう」


炒めたナスや、しょうが、ねぎにきゅうり……たくさんの野菜もとれば胃に負担がかからないだろう。


「あ……冷蔵庫に何もなかったよ?」


「スーパーに寄ってから帰ろう」


雪哉は近くのスーパーマーケットに車を走らせた。



* * * * * *



夕食の食材を買うと、杏梨はスーパー内の書店へ行った。


気に入ったファッション雑誌の8月号をまだ買っていなかったので欲しかったのだ。


雪哉を書店の前で待たせ、杏梨は目当てのファッション雑誌を手にするとレジに急いだ。


バッグの中から財布を出してお金を払う。


財布をバッグに戻す時、一枚の名刺をバッグの中で見つけた。


「?」


首を傾げたが、雪哉を待たせてはいけないと雑誌をかかえて外に出た。



「お待たせ~」


「雑誌でも買ったの?」


小説やマンガにしては大きすぎるビニールの袋を見て聞いた。


「うん 前にゆきちゃんが見せてくれた雑誌の8月号なんだ」


「店にも数冊置いてあるだろう?」


同じ号は必ず3冊は置いている。


「うん でもお店だとゆっくり読めないから」


それにこの号はゆきちゃんが載っている。

彩さんも一緒だけど……。


それでも杏梨は欲しかったのだ。







マンションに戻り、着替えに部屋に行った杏梨は、バッグの中の見慣れない名刺を手にした。


書店で見てからずっと気になっていたのだ。


「浜田 晴美……週刊月光ジャーナル……?なんでわたしのバッグに入っていたんだろう……」


不思議に思った。


誰かが間違えてわたしのバッグに入れちゃった?


それも変だなと思う。


「明日、お店に行ったら聞いてみよう」





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