Love Step
「気にするなよ 姉貴は結構弱いんだ」


「そうよ、今までにも何回か倒れていたわね」


真緒も峻の言葉に同調する。


「真緒さん、戻ってくるまで杏梨を預かってもらえますか?」



バッグを持たずに店を出た杏梨はお金もカギも携帯もない。



「ええ、いいわよ 彩がどんな様子か連絡してね?」


「はい、杏梨 ここで休んでいろよ」


「峻くんっ!わたしも行くっ!」


「ここで休んでいた方がいい あとで雪哉さんに迎えに来てもらうから」


立ち上がった杏梨の肩に軽く触れ、杏梨の返事を待たずに出て行った。




「……ご迷惑をおかけしてすみません……」


真緒と2人きりになると杏梨は謝った。


その時、胃がきりきりと痛みを訴えた。


「あ!……」


痛みを和らげようと手で胃の辺りを擦る。


「少し横になった方がいいわ 上へ行きましょう」


真緒は杏梨が立つのを待って、店の奥のドアに案内した。



まったく知らない人の部屋に行くのは、相手が女性であっても緊張する。


ドアを開けて先に上がっていく真緒さんの後姿を見ていると、真緒さんが階段の途中で振り返った。


「どうしたの?早くいらっしゃいな」


明るく言われ、杏梨は上がり始めた。




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