Love Step
「峻は有名人だね?」



梨沙が肩から紙袋を下げて立っていた。




「雑誌に載らなくなればすぐに忘れられるさ」



「そうかな~ 峻はどこにいても目立つから 良いな~ あたしもサインねだられたい」



「買い物終わった?」



「え?う、うん」


* * * * *


2人は竹下通りを歩いていた。


人が多く歩く歩調はゆっくりになる。


やっと大通りに出たとき、峻は道路を挟んだ向こう側に杏梨を見つけた。



「杏梨っ?」



峻は歩道橋を駆け上がった。



「峻っ!?」



梨沙も突然走り出した峻を追いかける。




歩道橋を降りた時、杏梨の姿は見失っていた。



「見間違いか?」



そこへヒールの足音が聞こえてきた。



「峻っ!酷いよ!置いていくなんてっ!」



はぁはぁと息切れをしている梨沙はやっと追いついて文句を言う。



「あ……ごめん」



一緒にいた梨沙の事をすっかり忘れていた。



「誰がいたの?」



「ダチ」



「ふ~ん ねえ 汗だくだよ 冷たいものでも飲もうよ~」



梨沙は汗ばんだ手で峻の手を握る。



握っていないと不安だったからだ。



また置いていかれたら悲しすぎる。



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