Love Step
「……そうですよ、惨めな気分になるので杏梨を連れて早く行ってください」



峻が無表情に言う。



「悪かった、迷惑をかけたね 杏梨、行こう」



大事な物を抱えるようにして杏梨の腰に手が置かれた。



「峻くんっ!ありがとう」



雪哉に保護される様に車に向かう中、杏梨は急いで振り向くと言った。



空いている手で車のリモコンを操作する。



ピッっと小さな音で、赤い車のドアロックが解除された。



助手席のドアを開けて杏梨を促す。



杏梨は一度不安そうな顔を雪哉に向けたが、優しい眼差しを見ると席に座った。



杏梨を座らせた雪哉は車の前を回り運転席に着いた。



「ゆきちゃん……」



「ん?」



「酷い事言ってごめんなさい……」



「杏梨に謝られると辛いな すべては俺のせいなのに」



「……」



「疲れただろう、目を閉じて休むんだよ」


雪哉は顔を近づけると杏梨の唇に軽いキスを落とした。


そしてエンジンをかけるとサイドブレーキを解除し発進させた。



長い一日だったな。


今はゆきちゃんが側にいるおかげで心が落ち着いた気がする。


さっきは絶望的だったから。


でも……なんだか空回りしていたみたい……。



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