Love Step
** * * * *



「店に顔を出さなくてはならないんだ 先にマンションへ送って行くから」



窓に顔を向けていると雪哉の声にハッとなる。



車は見慣れた景色の場所を通っていた。



「もう着いちゃうんだ」



帰りの方が行きより時間がかからない気がした。



「道が空いていたからね 疲れただろう?」



「ううん 運転しているゆきちゃんの方が疲れたよね?」



「帰りは遅くならないからゆっくりしてるんだよ」



言っておかないと不自由な手で洗濯や料理をしそうだ。



「わたしもお店へ行きたい めぐみさんたちにお土産渡したいから」



「じゃあオフィスで休んでいるといい」



「はーい」



お店は相変わらず忙しかった。



雪哉は店内の様子を見に行き、杏梨は受付に取り残された。



「お帰りなさい 杏梨ちゃん」


受付のスタッフの女性が言う。



「ただいま あの……めぐみさんは接客中ですか?」



「ええ、20分ほど前からだからしばらく手が空かないわよ?」



杏梨はめぐみに渡すのをあきらめて、受付のスタッフにお饅頭の大きな箱を渡した。



杏梨の手元に小さな箱が残った。



キョロキョロと辺りを見渡してからネイルサロンの方へ向かった。



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