Love Step
* * * * * *



杏梨は雪哉の様子に敏感になっていた。



昨日も何か言いたそうだったのになんでもないと言う。



「やっぱり琴美さんの事なのかな……」



でもスタッフとトラブルばかり起こしていても話せば分かってもらえると思うし……。


ゆきちゃんが琴美さんに頭を悩ませすぎるのもおかしいよね。


何か違う事なのかな……。


でもわたしが関係している事は確かだよね……。


もしかしてっ!?



テレビ台の埃を取ろうとクイックルワイパーで掃除している手が止まる。



「好きな人が出来ちゃったとか……」



呟くと本当の事に思えてくる。



婚約した事を後悔しているのに言い出せないから?



「ち、違うよね?きっとお仕事の事で悩んでいるんだよね?」



心に言い聞かせてもその考えは心に沁み付いてしまった様にずっと離れない。



~~~~♪


テーブルの上の携帯電話が鳴った。



「そうだ!香澄ちゃん!」



クイックルワイパーをその場に置いてテーブルに駆け寄る。



「もしもし?」



『杏梨~ マックにいるんだけど何がいい~?』



今日は昼食をマックで買って来てもらう約束をしていた。



杏梨は思いついた「てりやきバーガーのセット」を言った。



『OK~ てりやきバーガーだね~ あと10分ぐらいで行けると思うよ』



「うん、気をつけてきてね」



携帯電話を切った後、テレビ台に置きっぱなしにしたクイックルワイパーを手にして掃除用具置き場に置きに行った。



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