Love Step
杏梨は開いたクローゼットの前に立っていた。



「ゆきちゃんのお友達に会うなんてびっくりなんだけど……何を着ていけばいいんだろう……」



ハンガーにかかるタンポポ色のワンピースを手にしてみる。



ゆきちゃんの高校の時のお友達って言うくらいだから28才……。


子供っぽい服は笑われちゃうかも。



苦労してタンポポ色のワンピースを着て鏡の前に立つと髪の色に合わない気がした。



どうしようかな……。



悩んだ末にもう一度着替え、キャミソールタイプの白地にスカート部分が涼しげな水色の小花が咲いているリゾート風のワンピースに決めた。



これならギプスにも差し支えないし、カーデガンを羽織れば店の中のクーラー対策にもなる。



着替えて待っていると雪哉が迎えに来た。



お酒を飲むので車を置きに来たのだが、杏梨を店に近づかせないようにするためでもある。



「ゆきちゃん、お洋服おかしくないかな?」



「おかしくないよ 杏梨は何を着ても可愛い」



真面目な顔で答える雪哉に杏梨の頬が赤くなる。



「すぐ赤くなるところも可愛いよ」



雪哉の手が頭をポンポンと軽く叩く。



もうっ!いつもからかわれて言い返せない。


ちょっとくやしい。



< 476 / 613 >

この作品をシェア

pagetop