Love Step
* * * * * *




ダウンライトが寝室をふんわり包み込むように点いていた。



広いベッドの端で縮こまるようにして眠った杏梨を見ていると携帯電話が鳴った。




「志岐島、ちょっと待って場所を変える」



小声で志岐島の電話に出てから寝室から離れた。



「いいよ」



『あー……杏梨ちゃんはどうだ?』



「やっと眠ったよ」



『そうか……明日刑事がそっちへ行くよ』



「あぁ 彼女はどうしている?」



『彼女って、黒田さんか?まだ事情聴取中だよ 杏梨ちゃんは何か話したか?』



「いいや 可哀想で見ていられないよ」



『無理もない』



志岐島も明日来ると言って電話は切れた。



* * * * * 



ぐっすり眠っているのを確かめてから雪哉はリビングでノートパソコンを前に仕事をしていた。



1時間ほど経った時、杏梨の悲鳴が聞こえた。



急いで寝室に行くと、ベッドの上で身をよじらせていた。



「いやっ!やめてっ!」



杏梨の両腕が助けを求めるように上がった。



その腕を掴む。



「杏梨、杏梨! 夢だ 起きなさい」



その声が届いたのか目がパチッと開いた。



「……ゆきちゃん」



「うなされていた 大丈夫かい?水を飲む?今持ってくる」



水を取りに離れようとするとシャツの裾が引っ張られた。




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