幸せはキミと ~お嬢様と貧乏大学生~
<プロローグ>


「みゆ…」

高層マンションの大きな窓から見えるのは、キラキラした東京の摩天楼。

真ん中に赤く浮かび上がるのは東京のタワー。

結婚して5年。
毎日見てるけど、飽きる事がない…
私の大好きな夜景。

そして聞こえる。
私を呼ぶ大好きなあなたの声。

「みゆ。ただいま。そんなとこで寝てるとまた風邪ひくよ」

見えるのは急いで帰って来たのだろう、髪が少し乱れたあなたの姿。

アレレ? 私また寝ちゃってたんだ。

「圭吾さんおかえりなさい。わたし…、また寝ちゃってたんだね。ごめん」

「オレこそ遅くなってごめんな」

ソファに座り、まだボーっとしてる私に

「ただいま。誕生日おめでとう」

"ちゅ"

圭吾は、はにかんだ笑顔で私にキスをした。

「随分と待たせちゃったな」

「圭ちゃん、アレ食べたい」

「はいはい。いつものアレね。じゃ!2人で作ろうか」

「うん」

特別な日に私がねだるのは、私が食べてきたどんな高級料理よりも、美味しい美味しい私たちの幸せな思い出の味…。

「でもその前に。オレはこっちもあげたいな」

"……ぅっん ふぁ…"

静かな部屋に響くのは、お互いの唇が重なって奏でる音だけ。

未だソファに座ったままの私の目の前に立て膝で立ち、私の頭に手を回した圭吾が、さっきとは違う深い深いキスを私に落としてく。

「愛してるよ。みゆ」

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