幸せはキミと ~お嬢様と貧乏大学生~
隆の家に向かう車の中で、オレは先日の出来事を思い出して、顔が熱くなった。
前回、遊びに行った時に、会った途端、彼女の足が玄関マットに引っ掛かり、抱き付いて来た美由紀ちゃん。
とっさの事で、思いっきり抱きしめちゃったけど、華奢な体に、照れてる顔に、キレイな黒髪から香るいい匂いに…、オレはドキドキが止まらなかった。
話すだけの関係よりも、体に触れると、彼女をリアルに感じ過ぎて、オレの気持ちも、もう溢れそうだ。
オレは彼女が好きだ。
美由紀ちゃんが大好きだ。
でも自分は兄隆の友達。それに身分も違う、彼女はれっきとしたお嬢様だ。
オレが気持ちを伝えられる相手じゃない。
赤くなったり真顔になったり…してたであろうオレの表情は、
隣で前を向いて乗っている隆には気付かれていないようでホッとした。
そんなオレは、この日もいつものように楽しく終わるんだと思っていたんだ。