To Heart


神谷の言葉がなんとなく頭に残りながら、僕は自転車を走らせ図書館に向かった。

中に入ると同時に、図書館独特の本の匂いが鼻を刺激する。

僕はこの雰囲気が結構気に入っている。

借りていた本をカウンターで返すと、次に借りる本を探しながら何気なくあの人の姿を探す。


あ……いた。


一瞬ドキッと心臓が高鳴る。神谷のせいで、妙に意識してしまう。

とにかく今日はきっとささやかないい事があるぞ!

そうやって強く心の中で言い聞かせ、乱れた気持ちをなだめる。

恋ではない。

これは恋ではない。

と、心の中で呪文のように唱えてみた。
< 11 / 171 >

この作品をシェア

pagetop