To Heart


彼女のマンションが見えてきた。

前を通るからといって、うまく遭遇することなどないだろうけど、彼女のマンションを見るだけで、やはり心が踊る。

今、彼女は仕事に向かう準備をしているのだろうか……

そんな風に考えながら走っていると

「あ、川口くん!」

思いがけず、マンションの前で突然彼女に呼び止められた。

「あ!」

会えた……

「お、おはようございます!」

僕は勢いよくブレーキを掛け、足で蹴りながら彼女の所まで少し戻った。

胸の高鳴りが、心地よく感じられるのは、気持ちが吹っ切れたせいだろうか。

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