To Heart
(2)思わぬ展開
自転車の鍵で失敗して以来、僕は彼女の前で新たな行動を起こす事はなかった。
しかし神谷は違った。
この間あれ程悩んでいたクセに、校内で「理央ちゃん」が一人でいるところを見るや否や、もの凄い勢いで走って行き、どんな会話をしたのかは分からないが、あっという間に理央ちゃんとお茶の約束を取り付けて戻ってきた。
「とりあえず俺は、第一歩は踏み出したぞ!」
締まりのない顔で戻ってきた神谷は、まるで大きな獲物を釣り上げた漁師のように胸を張ってそう言った。
「神谷は凄いな。尊敬するよ」
心の底からそう思う。僕には絶対に出来ない行動だ。