To Heart

店は、文化村の前から怪しいホテル街に入ってすぐのビルの、グルグルとした階段をひたすら下りた地下にある居酒屋だった。

2人が曲がった先に、きらびやかなホテルの看板が目に入ってきたときは、どんな店に連れて行かれるのかと、内心ドキドキしたが、店内は和風で、中央にオープンキッチンがあり、店に入ると店員が(渋谷という場所柄なのか、イケメンばかり)元気が良く出迎えてくれるような、明るい店だった。

席は座敷になっていて、隠れ家的で落ち着けるいい店で安心した。

席についてとりあえず生ビールを4つ注文する。

「へぇ~! いい店だね! 2人はよく来るの?」

「たまにね」

「ここのね、炙り〆鯖と大根のおでんが、マミすっごく好きなの~♪」

「そうなんだ! じゃあそれ頼もう! あとは?」

3人で勝手に盛り上がる中、僕は再び彼女のことを考えていた。
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