来栖恭太郎は満月に嗤う
クレオが今朝の朝食のメニューを俺に告げる。

「今朝の朝食はコールドローストビーフ、ボイルドエッグ、トースト、コーヒーとなっております」

「コールドローストビーフはいらん。ボイルドポークにしろ」

「かしこまりました。コールドミートは如何なさいますか?」

「ジャム」

「かしこまりました」

俺の注文に恭しく頭を下げるクレオ。

その背後では、リルチェッタがモーニングティーをカップに注いでいる。

…その姿を見ながら、俺は薄く笑みを浮かべる。

わかっているぞ、リルチェッタ。

真祖は五感も尋常ではない。

そのティーカップには無味無臭無色の毒が塗ってあるな。

それも人外ですら苦悶の末絶命するような劇薬だ。

いいぞ、リルチェッタ。

実力で敵わずとも、策を弄してでも復讐を果たそうとするお前のその姿勢、実に好感が持てる。


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