ソプラノ
だいぶ暗くなり始めた空の下、由希と俺は歩いていた。
「ねぇ、陸はいないの?好きな人。」
由希の問いに、俺は少し悩んだ。
―いるよ。
そう言えば、「誰?!」と名前を聞き出すまで探る由希。
―いねぇよ。
そう言えば、「なぁんだ。」と、そこで話は終わってしまう。
よく考えたあげく、「いるけど。」と短く答えた。
「えっ!マジで?誰~?」
ほらね。
お前は絶対聞くと思ったよ。
「教えません。」
俺はニヤっと笑うと、由希のほっぺを緩くつまんだ。