忘れられない人
「おっす、お疲れ。」

「先輩、スーツ姿なんてめずらしくないですか?!私、初めて見たーー。」

「だって、今日は朝から新幹線で浜松まで出張だったからよ。しっかし、スーツなんて着慣れないから、疲れるのなんの。湊はこれを毎日着て営業してるんだから、えらいよな。」

「藤咲さんは、スーツ着て仕事に行くんじゃないんですか?」

「あー、オレは普段着で会社行って、着いてから作業着に着替えるんだ。スーツなんて着るのは、出張のときくらい。」

「じゃあ今日の姿を見れるのは貴重なんだ。」

「かなり、ね。出張と結婚式くらいしかスーツ着ないからね。ほんとなら今日も着替えて来たかったよ。」

凌は苦笑いしながら、

「湊がさ、アイツうるさくてよ。どうしても今日飲みたいって。出張終わったら真っすぐこいって言われたけど、結局湊のヤツ、残業でやんの。」

「えー!湊先輩、これないの?!」

「終わり次第向かう・・・とは言ってたけど、何時になるかなぁ。まぁ、後で来たところで、湊のおごりだけど(笑)」

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